提供開始初年度に20事例!失敗経験を基に開発されたDX支援サービスとは?

かつてはIT企業でもAIの効果を引き出し切れなかった


デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が叫ばれる中、それを推進するテクノロジーの1つとして「AI」への期待が高まっている。

一方、脚光を浴びれば浴びるほど、AIという言葉がバズワード化している節もある。実際、AIありきでプロジェクトを進め、失敗する企業は少なくない。これはユーザー企業だけでなく、その取り組みを支援するIT企業側も同様だ。「我々も、AI活用を希望する多くのお客様のプロジェクトをお手伝いしてきましたが、過去には多くの苦い経験も重ねてきました」と語るのは、Fabeeeの武田 恭治氏である。

Fabeeeは、某国立大学との連携によって生体データを解析するアルゴリズムの研究開発にあたるなど、AI領域の高度な知見と技術力を強みに企業のDXを支援するソリューションパートナーだ。それでも、事業開始からしばらくの間は、AIの強みを引き出すための方法論を見つけあぐねていた部分があったという。

当社は、一般的なシステムの受託開発も請け負っています。そのため『お客様の要望に従って開発・納品する』というスタイルが染みついてしまっており、それがAIの真価を引き出せない1つの要因になっていたのです」と武田氏は自戒を込めて振り返る。

もそも新技術であるAIの場合、顧客企業側が「どんな課題に有効で」「どう活用すべきか」のビジョンを持っていることは少ない。また、高度な活用を具現化するには十分な量のデータが必要だが、それが揃っていないケースも多かったという。その状態で顧客の要望だけを聞いていけば、当然ながら大きな成果は得られない。ソリューションを導入しPoC(概念実証)を実施しても、投資対効果を無視した技術評価に終始してしまい、ビジネス成果につながらないケースがあったという。「お客様の“DXパートナー”として、なんとかしなければという強い危機感を抱いていました」(武田氏)。

だが、こうした苦悶も今は昔となった。過去の反省を基に、真に役立つAIソリューション、およびDX支援サービスを見つめ直した同社は、自らを「DXコンサルティングファーム」と再定義。同時に、新サービス「Fabeee DX」を核とした顧客支援の新たな方法論を編み出したのである。結果、同社はFabeee DXの提供を開始した2020年度に、20ものAI関連実績を上げている。

今回は、同社のFabeee DXの特徴紹介を通じて、効果を引き出すAI活用のポイントを考える。

失敗経験から生まれた、DX成功への方法論とは


Fabeee DXの特徴は、顧客企業内に「データ活用文化を形成すること」を重視する点にある。

前述したように、AIなどのソリューション導入ありきで考えてしまうと、DXプロジェクトは失敗する。DXのゴールはソリューション導入ではなく、「今後のビジネス競争に打ち勝つこと」。それにはテクノロジーの導入と並行して、社員の意識改革やビジネスモデルの刷新にも取り組む必要があるからだ。そのための統合的な支援策やテクノロジーを提供するのがFabeee DXというわけである(図)。


初期フェーズで重要な役目を担うのが、サービスメニューの1つである「よろずや」だ。その名の通り、顧客企業内のITに関するあらゆる要望をFabeeeが一元的に受け止める。「多様な人材を有しており、システムの構築・改修を伴うものならエンジニア、データ分析が必要なものはデータサイエンティスト、業務プロセスから見直す必要があるものはコンサルタントというように、内容に応じたメンバーのアサインが可能な点は当社ならではです」と武田氏は説明する。

個別契約型のDX支援サービスでは、当該部門以外が「DXは自分たちの仕事ではない」という感覚になりがちだ。よろずやなら、DXに向けた取り組みを全部門が“自分ごと化”するようになる。これにより、まず顧客企業の組織の縦割り解消を図るという。

「課題が1つ解決されると、それを見ていた他部門に『こんなことも実現できるのでは』といった気付きが生まれます。組織の垣根を越えたデジタル化が進む中で、全社のデータ活用文化が形成されていくのです」(武田氏)


AIありきではなく、使いどころを見極める


またFabeeeでは、「話せるエンジニア」を大きな強みに掲げている。テクノロジーとビジネスの両方に通じた人員が、顧客企業の経営層やビジネス部門にも分かりやすくソリューションの特性や活用メリットを説明する。さらに、必要なデジタル基盤の設計、AIモデルの開発から、実際のシステム構築、その後の運用プロセスまでを一気通貫でサポートするのだ。このように、ビジネスで求められる成果や投資対効果を意識しつつ、成果が得られるまで顧客と伴走する点もFabeee DXの重要な特徴である。

「そのため当社は、必ずしもAIありきでプロジェクトを主導しません。アセスメントの結果、機械学習や深層学習などの手法よりも、ルールベースや単純な回帰分析を用いたほうがよいという判断になれば、後者を提案します。データサイエンスを熟知した我々だからこそ、AIの使いどころを見極めることができると自負しています」と同社の川田 真也氏は語る。

なお、昨今のコロナ禍では顧客との対面の打ち合わせや開発スタッフでの客先常駐などを極力控える必要があるが、これにもFabeeeは対応する。「Fabeee Anyplace」というサービスで、リモートに特化したプロジェクトチームを素早く編成。緊急事態宣言下などの状況でも、企画、要件定義からシステム開発、運用までをスムーズに進めることが可能だという。

小売業、製造業など、様々な企業がAIの効果を享受


Fabeee DXを利用して成果を上げる企業の事例をいくつか紹介しよう。

1つ目は、あるEC事業者の例だ。この企業は顧客数が多いこともあり、売上金額を基にした顧客分類などしかできておらず、より多面的な分析に基づく売上向上を目指していた。「そこで、詳細な顧客属性データを収集して購買行動を分析し、それを多様な商品IDと関連付けることで、潜在的な顧客ニーズを可視化。購買可能性のある商品群をリコメンドする仕組みを構築し、購買率を従来の1.5倍に引き上げることができました」と川田氏は紹介する。

2つ目は、駆け付け保守サービスの最適化に取り組んだある不動産サービス業のケースだ。コールセンターへの入電を受け、最速で客先に向かえる技術者を自動でアサインする仕組みをつくった。「それには、時間帯や地域、技術者個々人のスキルなど、多様な条件を加味して最適解を導かなければいけません。そこで、閾値に基づいて判断するルールベースや機械学習など、複数の手法を組み合わせた仕組みを構築し、駆け付け保守サービスの顧客満足度向上に貢献しています」(川田氏)。

さらに現在進行中のプロジェクトでは、ある出版社が運営するオウンドメディアのPV/CTR向上に取り組んでいる。大量のWebコンテンツに対して言語解析を行い、実際のPV/CTRとの相関分析を実施する。これにより、読者の関心が高いキーワードを抽出し、記事の企画・執筆の際の判断に生かす計画だという。

紹介した事例はほんの一部にすぎない。「失敗した経験を持つ当社だからこそ、お手伝いができることがあると考えています。ビジネス成果につなぐことを最大のミッションとし、時にはお客様と共に主体的に事業を立ち上げたり、プロダクトを開発したりしつつ、お客様の課題解決に向けて最適なものを提供していきます」と強調する武田氏。そのため、各領域の人材も精力的に採用しながら、一層の体制強化を図っている。

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